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 : 開星高等学校卒業式 答辞
 投稿日時: 2022/03/01

令和3年度開星高等学校卒業証書授与式を挙行いたしました。
出席できなかった在校生へ向けて答辞を掲載します。

答辞
 冬の冷たい空気も少しずつ和らぎ、春の訪れを感じる季節となりました。入学したての頃、登るだけで息が切れていた学園坂にも今ではすっかり慣れ、友達と話しながら登れる程になりました。そんなささいなことにさえ成長を感じます。
今日の佳き日。私たち百十五名の卒業生のために、このような盛大な卒業証書授与式を挙行していただき、誠にありがとうございます。先程、理事長先生、校長先生、来賓の永原様からのご祝辞、そして在校生の皆様からは激励の言葉と、心温まるメッセージをいただき、卒業生一同、感激で胸をいっぱいにしております。三年前、高校生活への期待と不安を胸に、開星高校へと入学しました。

 入学早々三瓶研修。グループ活動を通してクラスメイトと少しずつ打ち解けていくことができました。夜には、先生に気づかれないように、遅くまで同じ部屋の子たちと話したことも思い出の一つです。

 二年生では新型コロナウイルスの影響で休校も経験し、研修旅行もなくなるなど、今まで経験したことのない状況に苦戦した一年でした。

 あっという間に迎えた三年生。遠足は久しぶりの学年行事で、生徒も先生も一緒になって楽しむことができました。天籟祭では、私たちのクラスは前日に応援合戦の内容を大幅に変え、みな汗を流しながら遅くまで必死に練習しましたね。64Rのこのメンバーだったからこそ、辛くても完成させることができました。

 私は美術部に所属していました。初めは絵のバランスを考えながら描くことが苦手で、毎週あったデッサンも、酷評されるのではないかと不安になった時期もありました。しかし、先生や先輩、同級生のみなのアドバイスのお陰で、少しずつ上達し、ますます絵が好きになりました。

 二年生。後輩ができました。初めは壁を感じた後輩とも徐々に距離が縮まり、とても嬉しかったことを覚えています。そしてこの年、高校美術展という、一年の締めとなるコンクールで初めて入選することができ、ますます頑張りたいと思うようになりました。二年生の終わり、初めて自分たちが主体となって合作を作りました。梅の木と月が描かれた作品です。構成や色味、担当も、全員で意見を出しながら作っていきました。合作は想像以上に大きく大変で、弱音を吐いてしまうこともありました。そんな時は、みなで音楽を聴いて気分転換したり、家族の名前の漢字当てクイズをして休憩したりしました。私は美術部の、マイペースに、楽しみながら作品を作っていく雰囲気がとても好きです。苦労しながら完成した作品はとても綺麗で、「頑張ってよかったなぁ」と思うような、大切な作品の一つとなりました。

 そんな私たちもいよいよ三年生になりました。私を含め三年生部員は、体育祭のデコ長を務めることになりました。構図で悩む私にアドバイスをくれたり、デコの途中で辛くなった時には、声を掛け合いながら作業をしました。クラスメイトはもちろん、美術部のみながいなかったら私はデコを完成させることすらできなかったかもしれません。そしてその同時期に、美術部では三年間で一番大きな合作も作りました。最初は、デコと並行して進めていけるのかとても不安でした。ですが、みなと一から作り上げていく作品はやはり楽しく、文化祭までに完成させることができました。これは、三年生がデコで作品作りに参加できなかった日にも、一生懸命制作を進めてくれた後輩たちもいたからこそできたものだと思います。私はこの経験から、最後までやり抜くことの大変さと、支え合える仲間の大切さを学びました。

 そして何より、この三年間、私にとって美術部のみんなは家族のように温かく心地良い存在でした。「美術部に入って良かった。」と心の底からそう思います。ありがとう。みんな大好きです。

 いつも温かく、時に厳しく、私たちのためにご指導くださった先生方。思わず反抗的な態度をとってしまうこともありました。そんな時も、先生方は温かく受け止めてくださいました。こうして卒業することができるのも、先生方の熱心で生徒思いなご指導のお陰です。

 そしてどんな時も味方でいてくれた両親。進路や学校生活の悩みも沢山聞いてくれました。毎日忙しい合間を縫ってお弁当を作ってくれたお母さん。雨の日も、雪の日も学校の近くまで送ってくれたお父さん。いつもありがとう。感謝の気持ちでいっぱいです。

 さて、皆さんは、東京オリンピック、陸上男子800 mで起こったアクシデントをご存知でしょうか。二人の選手が交錯し、転倒したのです。転倒したアメリカのジュエット選手も、直後は心が折れてしまっていました。しかし、そんな状況でも彼は前を向き、共に転倒したボツアナのアモス選手を抱き起こして、声を掛け合いながら2人で一緒にゴールしたのです。まさに、「文化・国籍などの様々な違いを乗り越え、友情・連帯感・フェアプレーの精神をもって平和でより良い世界の実現に貢献する」というオリンピックの精神を体現した名シーンとして、私の心に深く印象に残りました。

 思えば、私にも沢山のアクシデントと言えることがありましたが、今振り返るとどれもいい思い出です。こんな風に今私が言えるのは、辛い時も一緒に乗り越えてくれた仲間がいたからです。輪になってお弁当を食べたこと、喧嘩したこと、テストで競い合ったこと、勉強会をしたこと、一緒に買い物をしたこと。このなんでもない三年間の日常こそが私を支えてきた、私にとってかけがえのない宝物です。

 そんな大好きなみなとも離れ離れになってしまいます。春から私たちは新しい道へ進み、その先で何度も困難にぶつかるかもしれません。ですが、そんな時こそ開星で得た学びと経験を糧に進んで行きましょう。ここで出会った仲間はきっと力になってくれるはずです。卒業しても私たちはずっと大切な仲間です。

ここで、私たち卒業生から在校生の皆様へ、メッセージを贈ります。
「開星spirits 〜仲間と描くNEWSTORY〜」です。

 今、私たちは新型コロナウイルスの流行により新しい生活様式を余儀なくされています。またいつこんな風に厳しい状況が来るかわかりません。でもそんな時にこそ仲間と支えあい一緒に立ち向かってください。そして、ここ、開星高校で自分たちだけの物語を作っていってください。皆さんの紡ぐ物語はきっと、生涯忘れられない大切なものになるでしょう。

最後に、開星中学高等学校の益々のご発展と理事長先生、校長先生をはじめとする諸先生方、在校生の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りします。そして、いつも私たちを支えてくれた両親に深く感謝し、答辞とさせていただきます。

令和4年3月1日
 卒業生代表矢野優理彩