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 : 少年の主張松江大会 出場
 投稿日時: 2019/09/12

令和元年度少年の主張松江大会(松江地区少年弁論大会)が9月5日に開催され、中学3年田辺昂己(中央小出身)が出場しました。本校の代表として堂々とスピーチをしました。結果は優良賞でした。

「グローバル化の中の伝統文化」
 僕は中学一年生のときに、スペインで行われたサッカーの国際大会「On Sports Cup」に出場しました。親もついて来ず、知っている人も少なく、不安でしたが、僕が最も心配していたのは、言葉が通じないということでした。中学一年生だったので、英語もおぼつかないのに、スペイン語で話すなんて無理だという気がしました。事前に少しスペイン語の勉強もしましたが、覚えたのは挨拶程度なので、なるべく話しかけられないようにしようと思っていました。
ところが現地のホテルで、スペインのチームから話しかけられてしまいました。僕は意味がわからなくて何度も何度も聞き返しましたが、それを相手の選手は待ってくれたので、なんとなく内容が分かり、質問に答えることができました。このスペインでの経験が、初めて異文化に触れ、僕が日本以外の世界について考えるようになったきっかけとなりました。
今、様々な場で「グローバル化」ということが言われていますが、ただグローバル化と言っても、たくさんの乗り越えなければならない壁があると僕は思います。まず第一に先に述べた言葉の壁の問題があります。しかし、これについては、二〇一八年から小学校でも本格的な英語教育が始まっていて、しっかりと授業を受ければ会話能力が身につき、乗り越えらえる壁ではないかと思います。
 けれども、そのようなコミュニケーション能力だけでなく、グローバル化の流れの中で、考えなくてはならないのは日本の固有の伝統文化という、国際化と相反するような存在です。二〇二〇年には東京オリンピックもあり、グローバル化はさらに進んでいくと思われます。外国人観光客はもちろん、海外からの移住者もますます増加してくるのではないかと思われます。松江市内においても以前にも増して、外国人の方を見かける機会が多くなったように感じます。グローバル化が進む状況の中で、わが国固有の伝統文化はどうなってしまうのでしまうのか。いずれなくなってしまうのではないかと考えるのは考えすぎでしょうか。
 そういう日本の伝統文化の一つに、畳があります。皆さんの家には、畳を敷いた和室があるでしょうか。僕の家は畳店を経営していますが、日本人の生活様式の欧米化に加えて、外国人の方も増えたことによって畳の売り上げは減少しているそうです。父に畳業界でのグローバル化の取り組みについて聞くと、「海外に畳を売ろうとしている人もいるけれども、それ以外の取り組みは聞いたことがない。そして、売ろうにもそもそも海外には畳を敷く文化はないので難しい」ということでした。あと、何十年もしたら日本の家から畳の部屋はなくなってしまうかもしれません。
 けれども、グローバル化とはそもそも世界中の国々が同じようになってしまうことではないはずです。
 先日、学習した道徳の教科書に「小泉八雲が見た出雲の国」という単元があり、その中に「風が抜けて気持ちのいい畳の部屋」という一節がありました。ギリシャ生まれのイギリス人である、小泉八雲、ラフカディオ・ハーンは、まさにその畳の部屋で、日本庭園を眺めるのを好んだそうです。八雲のような外国人の方は現代においても少なくないのではないでしょうか。グローバル化が進む世界であるからこそ、日本に来たら、日本の伝統文化に触れたいと考えるのは、むしろ自然なことかもしれません。
 部屋のどこでも、座ったり寝転んだりできる畳の部屋には洋室とは違った使いやすさもあると思います。また最近では、洋室にも敷くことのできる畳も商品化されています。畳の良さを日本在住の外国人の方や海外の方にも知ってもらうことができれば、需要も増え、将来、畳屋になりたいという人も出てくるかもしれません。
グローバル化の波を受け入れつつも、畳に限らず、日本の伝統文化の良さを国内はもとより、海外に向けても、どんどん発信していかないといけないと、僕は思います。