KAISEIブログ
一般社団法人日本チャレンジ教育協会が主催する、小学生〜大学生・専門学校を対象とした、「自分で決めた目標に挑戦する」大会で、中学3年 加藤健路君が優秀賞に選ばれ、4月24日、東京で開催される「グランプリ決定戦」に出場しました。
惜しくもグランプリには選ばれませんでしたが、堂々と全国の舞台でプレゼンをしてくれました。
以下は、加藤君のプレゼンの原稿です。ご覧ください。
———–加藤君の全国大会原稿————-
僕はテニスをしています。テニスが大好きです。
心の底から「上手になりたい」「勝ちたい」と思っています。そして今回の僕のチャレンジは、「自分のテニスを記録する「テニス日記」を毎日つけ、練習前に必ず見る習慣をつける」というものです。実は、僕は去年も同じ「テニス日記をつける」というチャレンジをしました。だからこそ2年目の今回は、このテニス日記を更に進化させ、より使いやすく、自分のためになるようにパワーアップさせたいと考えました。また、チャレンジのゴールは年1回開かれる大切な大会「トヨタ・ジュニア」という大会で、その予選を突破することです。
チャレンジのきっかけを紹介します。そもそもなぜテニス日記を書き始めたかと言うと・・・
それはさかのぼること2年前、僕の担任の倉掛先生に「中村俊輔選手はジュニアのころ毎日サッカー日記を書いていた」と言われたからです。「一流の選手がそこまでのことをしているのだから、自分がこのままでいいはずがない、と思ったんです。こうして書き始めたのがテニス日記です。
次に去年との違いを説明します。簡単に言うと、見て理解できる、見て今日は何をするべきかを確認できるかそうでないかです。もちろん見る習慣をつけるには見やすくしないといけませんでした。また今年は、練習前に必ず見返して課題を思い出し、「今日こそは完璧にできるようにする」と目標を決めて、重点的に、意識して練習をするようにしました。日々を繋げ毎日新しい「加藤健路」に出会えるように自分が確実に成長・進歩していることを実感したかったからです。
成長するために大切なのは、やはり継続です。たから練習で疲れていてもその日の感覚や感想をその日のうちに書くことにしました。また、僕はコーチにノートを提出しているので、その日のうちに返ってこないときのために、ノートを2冊用意しました。さらにメモ帳を筆箱とともに常備することも忘れませんでした。
ところで、今のチャレンジでいくと「コイツはテニス馬鹿だ。テニスしかやっていないな」と思われても仕方がありません。しかし現実は厳しいです。確かにテニス馬鹿ですが、勉強の成績が悪いとテニスをさせてもらえないので、しっかり勉強しないといけません。でも部活動で疲れてて、「今日はノートだけ・・・(でもう寝たい)」という日も多々ありました。皆さんはそういう時、どうしますか。僕は授業の間の休み時間を使って勉強しました。これが意外にはかどるものなんです。
さて、いよいよ本題の「トヨタ・ジュニア」について話したいと思います。昨年の11月23日、トヨタ・ジュニアのドローが決まり、発表されました。何と対戦相手は第1シードでした。名前は「周藤公貴」。優勝候補であることは言うまでもありません。でも、僕はうれしくなりました。「これで自分の実力を知ることができる」ムチャクチャ楽しみでした。しかし、まともにやって勝てる相手でないことなどわかっていました。この日から周藤くんの「S」と勝利の「S」をとって「プロジェクトS」と名付けた僕の打倒周藤くん作戦は開始したのです。周藤くんのプレースタイル好きなショットなど、様々な情報を多くの人に聞き、メモ。そして作戦をノートに書きました。
もちろん作戦を遂行するには、その作戦に応じた技術が必要です。僕はその作戦に必要なショットを徹底的に磨き上げました。
いよいよ大会当日。緊張より楽しみという気持ちが、不安というより興奮が僕を包み込んでいました。入念にアップを終え、迎えた初戦。ゲームカウント1−1、2−2、3−3、4−4と接戦になりました。ところがここで相手は集中力を切らしました。ゲームカウントは、7−4、あと1ゲームで僕の勝利です。しかし、僕は集中を切らしませんでした。そして、マッチポイント、結果は最後まで攻め続け、終始相手にプレッシャーを与えた僕の勝利でした。
そころが、次の試合で、別のシード選手に破れ、予選突破は叶いませんでした。忘れもしません、4回戦目。7−4と、あと1ゲームで勝てるところだったのですが、ここで「勝ちビビリ」いや気を抜いたのかもしれません。おかげで一気に8−9、ゲームセットです。メンタルの重要性を痛感したとともに、心が折れたきっかけでもある体力不足を思い知らされました。「あそこで1ゲームとっておけば!」と思うほど、悔しくてたまりませんでした。何試合もこなせる精神力、そして体力の向上は僕の必須課題となりました。
さて、実は今回のチャレンジを考えた背景には、8月に自分がキャプテンになったということも影響していました。キャプテンに対する僕のイメージは強くてチームメイトに慕われる「かっこいい人」というものでした。またキャプテンになったので、前より余計にチームを強くしたい、と思いました。しかし、キャプテンになった後の8月9月は、話すのもつらいくらいの「苦痛」の連続でした。例えば、メンバーの練習試合を後ろで見ていた時、笑いながらやっている彼らに、僕は「真面目にやれよ」と声をかけました。ところが返答は無し、完全無視です。彼らはそのまま楽しくテニスをしていました。絶望でした。まるで自分がそこにいないようでした。自分の存在の小ささが情けなくてたまりませんでした。その後も返事もせず、挨拶もしない彼らに、心を痛め続けられました。強くなりたい、チームを強くしたいと心から思っていただけに、周りの意識の低さへのショックは大きかったです。そうして悩み苦しむ中でも、自分なりに何かやらないと色々考えました。今の状況をとにかくどうにかしたかったのです。
そして、僕が実行したことは3つ。
まず「自分の想いをしっかり伝えること」です。自分はこのチームをもっと強くして中国で、チームとして勝ちたい、だから厳しい練習に耐えなければならない、でもお願いだからついてきてくれ、と。
そして2つ目に、口で言うだけでなく、自分の本気の姿を見せることを大切にしようと思いました。大きな声を出せ、というより自分が人一倍大きな声をだす。もっと真剣に取り組め、というより自分が今まで以上の気合で臨むようにしました。
最後に、相手の気持ちを考えるようにしました。それまでの自分は自分の主義主張だけを押し通そうとする人だったように思います。もっと器の大きな人間になろうと努力しました。
このようなことを実践した結果、チームは少しずつ変わってきました。自分の指示に対して返事をしてくれる人が1人、次の日には3人となったり、みんなの集合が駆け足になったり、そんなごくごく当たり前にできていることがとても嬉しかったのです。日常生活でも、後輩に挨拶されることが増えるようになりました。今までスルーされていた自分に挨拶してくれている。「こんにちは」の一言だけで泣きそうでした。自分が動くことで人が変わること、お互いに高めあえていることが実感できてとても嬉しかったです。
ここでまとめとしてこのチャレンジでの気づきについてお話します。僕も皆さんと同じく「7つの習慣J」の授業をうけています。その習慣を常に意識しているわけではありませんが、何かの拍子に「相手のことも考えた上で自分のことも言う・・・。あっ、これがWIN−WINを考えるってやつじゃん」などという風に「これがそうなのか」と言うことは少なくありませんでした。例えるならば、7Jは平らな道に転がっている「石ころ」だと思います。道をただ歩けば何もないけれど、石ころがあればつまずく・・・、7Jは僕に大切なことを知らないうちに気づかせてくれました。
最後に、感謝の言葉を、僕に7Jを教えてくださっている松浦先生、小山先生、今回のスピーチの原稿作成にあたり大きなサポートをしていただいた鈴木さん、そしてテニス日記をいつも見てくださる多田先生、石川先生、グリーンテニススクールのコーチの方々、まだまだ未熟な自分を鍛えてくださっている先輩方、このスピーチができるのも皆のおかげです。全ての人に感謝します。有難うございました。