KAISEIブログ

 : 校長より 高校卒業式「式辞」 抜粋
 投稿日時: 2012/03/02

3月1日(木)、開星高等学校の卒業式が挙行されました。

「校長式辞」の中で、校長先生から卒業生に〈大和心(やまとごころ)という言葉が贈られました。

その「校長式辞」の一部を抜粋し、ご紹介いたします。


 今日から弥生3月です。大自然の営みは、風光る春の訪れをまもなくもたらしてくれそうな気配です。
 そうした今日のよき日、ご来賓の皆様、そして、卒業生の保護者の皆様のご臨席をいただき、「平成23年度 開星高等学校 卒業証書授与式」が挙行できますことは、私ども本校職員にとりまして、誠に喜びとするところであります。本校を代表いたしまして、深く感謝申し上げます。
 さて、今ここに、それぞれの夢を持ち、新たな世界へ飛躍しようとしている3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
 本校では、「開星ドリカム・プラン」により、生徒の皆さん、一人ひとりが、夢を持ち、その実現に向けて努力する学校生活を送れるように指導してまいりました。夢や目標を持ち、自分の可能性を否定しなければ、必ず道は開けます。そして、夢や目標に向かって努力する人生は、必ず実り豊かなものになります。皆さんの夢が開花することを、私はこれからも祈り続けてまいります。
 この3年間を振り返ってみますと、国内外の社会情勢は、まさに激動の数々でした。

 私たちが生活する、この日本という国は、現存する世界最古の国家です。『日本書紀』によれば、紀元前660年、すなわち今から約2700年前に建国されました。ただし、考古学の立場からは、この建国の時期に関する記述には信憑性が乏しいとされています。しかし、日本の建国は、考古学の立場から考察し、短く見積もったとしても1800年前となり、この時期であっても、現存する最も古い国家であるあることは変わりません。
 こうした長い歴史を持つ日本は、皆さんが歴史の授業でも学んできたように、何度も国難を乗り切ってきました。近代以降に限ってみると、今回の国難は3度目と言われています。最初が明治維新前後、2度目が第二次世界大戦後です。これまでの国難の時には、時代を動かす人物が現れ、その危機を乗り切る推進力となりました。

 彼らは日本人としての自覚をもって国を愛し、優れた伝統の継承と新しい社会や文化の創造を通して、国家の発展に貢献しました。こうした先人の歩みが、現存する最古の国家であるわが国を支えてきました。この伝統をしっかり受け継いでいくのが、今生きる私たちの責務と考えます。
 この先人の方々の根底に何があったかというと、それが<大和心>です。<大和心>とは、世界最古の国家としての歴史を持つ日本人固有の知恵や才覚です。

 この<大和心>を、なくさないためにも、また、忘れないためにも、皆さんの卒業にあたり、私は贈る言葉とします。

 <大和心>の最大の特徴は、日本人は大自然を「神」と仰ぎ、人間は大自然の恵みを頂いて生かされて生きていると考える自然観です。大自然は人間に恵みを与えますが、昨年の大震災のように、時には人間の命をも奪うことがあります。日本人は太古の昔から、大自然に対し畏敬の念を持ち、おそれ謹んだ態度で、正しく利用してきました。
 また、<大和心>のもう一つの柱は、人生観です。日本人の人生観では、自分のためだけに生きる人生は卑しく、他者のためにも生きる人生を美しいと捉え、働くことを生きがいと考える価値観です。

 今こそ、人間の心のあり方、一人ひとりの志が、よりよい社会を形成するためにとても重要です。<大和心>を心に刻み、卒業生の皆さんが、「開星」の校名の由来の如く、社会の発展に役立つ有望な人材に成長していかれることを祈念して、私の式辞を終わります。