KAISEIブログ
水野次郎副校長ブログ「神々の国しまね」の『スクール・ライフ』(Click!)
私が尊敬する、茨城県の教育界で長年ご活躍されていた加藤忠男先生から、先日ご紹介した俳画展に関するお便りが届きました。下記のように、それぞれの作品に対するご感想が添えられましたので、こちらに転載させていただきます。加藤先生はこれまで、NHKや朝日新聞の歌壇・俳壇でも数々の受賞をしてこられました。お写真は、その受賞風景の1カットです。
◆加藤忠男先生のメッセージとご感想
今回の「俳画展」、国語と美術の先生が計画した探究活動であるところがいいですね。平成元年小学校低学年に「生活科」が導入される前に「合科的な学習」を構想したことを思い出しました。高校生の「作品」はみずみずしくていいですね。エントランスホールは華やいでいることでしょう。
●紅葉は秋が深まる赤い糸・・・深まるが「秋」にも「赤い糸・絆」にも掛かっています。
●五月晴れひらひらと舞う鯉のぼり・・・初夏の早緑が染みてきます。ひらひらが軽やかな気分。
●夏の朝早く起きて勉強だ・・・中6の字足らずが忙しさを感じさせます。早や汗ばむ夏の早朝。
●寒い朝初日の出見に高台に・・・身を切るようにして何を祈ったのでしょう。青年には高台が似合う。
●雨粒がしたたり光る青紫陽花…青紫陽花に雨粒、シンボリックです。
●初恋や蛍の照らす君の顔・・・初恋の淡い色彩。それが蛍のはかない色彩。
●夏めくや君と二人の木陰かな・・・季節は夏に向かい二人の思いも・・涼やかな句です。
●炎天下打音響くや芝の上・・・炎天にあれば打球音も重そうです。
●ひまわりや見つめる空は晴れ渡る・・・いいですね、希望が持てますね。向日葵の元気さ。
●炎天下白球飛ぶよ空高く・・・こちらは同じ炎天でも爽やか。白球の働き。
●ビアガーデン仲間と共に過ごす夜・・・想像は創作のもと。「仲間とともに」が青春。
●紫陽花に雫光りて朝日かな・・・昨夜の雨か朝露か、朝のまぶしさ。
●嗚呼青春天の川見し愛注ぐ…この嗚呼はまさに青春の嗚呼。謳歌してください。
●夕月夜薄紫の空照らす・・・薄紫と見た感性がいい。
●水面を赤く染める紅葉の樹・・・水面も汀もまさに錦秋。鏡のような水面。
●さあ勝負線香花火君の勝ち・・・一瞬の花火。永遠の思い出。負けても嬉しいね。
●父の肩夜空見上げる夏の花・・・大きい花火、逞しい父の肩。懐かしい夏のあの夜。
●田植えにて一年ぶりのエンジン音・・・今年もいよいよ田植えの時期。エンジンの音も喜んでいるように。
●月あかり静かに散り行く紅葉かな・・・秋も深まり愁思も深くなる季節です。
●地平線どこまで行こうか麦畑・・・麦畑が広くどこまでも続いている。初夏の空気を歩こうか。
●雨の中のんびり歩くかたつむり・・・走ったら見えないものがある、時にはかたつむりもいい。
●ホタル飛び夜の川辺の火をとぼす・・・ほら、あそこにも。暗い中にホタルの灯。
●蛍一匹水面に写る二ばん星・・・蛍が水面に光った。空の一番星と一緒になって。いいね。
●夏の夜涼しい風と虫の声・・・いつの間にか季節は移る、もう虫の声が。
●夏の夜みんなで楽しむロケット花火・・・みんなで楽しむ,そりゃロケット花火でしょう。歓声が聞こえる。
●陽だまりに光したたるさくらんぼ・・・つやつやとおいしそう。陽・光・したたるの音の楽しさ。
●向日葵に集まる光揺れる影・・・向日葵の光だけでなく影まで見た「眼」が素晴らしい。
●宙を舞うまるで桜は蝶のよう・・・目くるめく飛花落花、蝶の群舞、幽玄。
●春風に青空を舞うアゲハチョウ・・・緑と青と黒のコントラスト。春の喜び。
●夏終わる日の入り少しさみしいな・・・晩夏の入日、早や「枕草子」の秋。
皆さん素直に詠んでいますね。好感を持ちました。もちろん添削はせず、読ませていただいたお礼に一行だけ感想を記しました。「季語」を学んだだけでもっともっとよくなりますね。「俳句甲子園」に挑戦してみてください。
先ほど成田の一年生の孫が、俳句ができたと電話してきました。「すべりだい ドングリみたいに ころがった」「りゅうぐうのつかいみたいな あきのくも」高校生のみなさんの俳句もそうですが、素直な「感性」に私は敵いません。ぜひ詠み続けてくださるようお伝えください。