KAISEIブログ

 : 2学期始業式【水野校長ブログ】
 投稿日時: 2021/08/25


●2学期始業式

長い夏休みが終わって、2学期の始業式を迎えました。この夏は、コロナの問題に加えて集中豪雨が続きましたが、万一身内の人が感染や被災をされているなどしていたら、心からお見舞い申し上げます。2学期の始まりに合わせたように、全国的にコロナの感染が再び拡大し始めました。街中や家族内など、日常生活から発生するケースも増えています。今後いつ、どこで不運に遭うか見通せないので、今後ともお互い十分に気を配っていきましょう。

先ほど各部から報告があったように、地区大会からインターハイ、全中大会など、本校中高生が熱のこもった競技、演技、演奏を披露してくれました。私も地区予選を現地で応援し、今年はオンライン中継されたインターハイの試合などを観戦しましたが、仲間とともにかけがえのない思い出を残せたことでしょう。ただ国体は中止の見通しが伝えられ、出場予定だった生徒には本当に気の毒ですが、気持ちを切り替え新たな目標に向かってください。

また夏休み中にはオープンスクールを実施しました。高校の部はオンライン開催としましたが、生徒会をはじめコーラス部、吹奏楽部、チアダンス部が開星の魅力を存分にアピールし、広報の田中先生によれば今朝の時点で視聴者は1002人。アンケートでもたくさんの反響が寄せられています。こうしてあなた方が、対外試合や行事等、積極的に取り組む中で、安全に活動を続けてこられたのは実に立派でした。今日こうして、皆が元気に新学期を迎えられるのも、一人ひとりが注意深く取り組んでくれてきたからではないでしょうか。あなたたちの成果を讃えます。


さて今日は、パラリンピックの開会式を迎えます。楽しみにしている競技などはあるでしょうか。選手の方々にとっては、乗り越える壁が何重にもある苦労の多い大会かと思いますが、世の中が暗くなりがちなムードの中、勇気と感動をもたらしてくれることを楽しみにしています。

先立って行われたオリンピックは、金メダル24個を含み、過去最高58個のメダル獲得で盛り上がりました。あなたには、心に残った場面などがありますか? 私は柔道やサッカー、マラソンなどの観戦をしました。そうした個別の競技のことはさておき、ここでは私にとっての印象深いエピソードをお話しいたします。ニュース報道などで耳にした、3つの話題です。

一つ目は、監督として史上最強と言われる日本柔道の躍進を導き、歴代最高の監督と評された、井上康生監督の談話です。ご自身も金メダリストだった井上監督は、現役時代からたいへんな読書家として知られていました。井上監督は、ジャンルを問わず、いろいろな分野の本を読んでいたということ。その経験から日本代表選手たちにも読書を勧めていて、精神的な面での安定と成長につながったと言います。この話は、あなた方にもお手本になるのではないでしょうか。部活動をやっているかどうかに関わらず、目の前の課題に向き合う上でという意味です。とくに、これから受験に臨む高校3年生は、進路指導部や担任の先生、また図書館の實重先生などに、自分が進む分野の読書について相談をしてみてください。必ず、目標達成に向けての大きな力になることでしょう。

二つ目は男子バレーボールのエース、石川祐希選手のことです。192センチの長身から繰り出す強烈なアタックで、29年ぶりに日本チームのベスト8入りに貢献しました。そんな石川選手が中学に入学した時、身長は160センチと、アタッカ―としてはそれほど高くなかったそうです。そこで努力家の石川選手は、ボールを拾う守備に力を入れ、徹底的にレシーブを鍛えました。その後、身長が伸びるにつれてエースとなり、ボールを拾えるアタッカーというオールラウンドプレーヤーとして成長。国際的な選手として飛躍していったことを、解説の人が話していました。石川選手のエピソードは、努力がいつ、どのような形で花開くのかはわからない。まずはその時に置かれている立場で、一生懸命頑張ることの大切さを、表わしているのではないでしょうか。

そして三つめは、選手たちが口にした感謝の言葉です。多くの人が、このようなコロナ禍の中で開催できたこと。関係者をはじめ、競技力の向上を支えてきた周りの人たちへ、感謝の言葉を表していました。もちろん、家族に対しても例外ではありません。選手の話を聞いていて、私はアスリートの家族は、実に大きな社会貢献をされているのだと思いました。社会貢献というと、本校の教育目標にも「社会に貢献できる人材」という言葉が謳われています。この言葉から「家庭の外で、職業的なことで何か大きなことを成し遂げる」という意味合いのことを、連想しませんか? 

高3生は間もなく、入学試験や入社試験を迎えます。私もこれまで、受け入れる側の面接官として、または模擬面接など、本校でも多くの経験をしてきました。そうした場で、受験生はほぼ例外なく「社会貢献」という言葉を口にし、将来の職業目標などを話します。私もつい、無意識でそうしたやり取りをしていました。しかしアスリートの言葉を聞いた時に、身近な存在を大切にすること。それこそが、社会貢献の原点であることを強く感じたのです。人ひとりを支えることは、大きな社会貢献の始まりなのだと。

もちろん、アスリートだけではありません。あなた方にとってみれば、毎日こうして学校へ送り出し、コロナも含めて、さまざまな障害や困難から生活を守ってくれる家族、あるいは寮生であれば寮でお世話をしてくれる人たち。日々どれほど、助けられていることでしょう。一例をあげればこの夏の柔道大会では、接触する競技ということもあり、下田先生と砂流先生はこれまで以上に気を遣っていました。長野県や岡山県から会場の様子であるとか、終了後の感染対策について、私の元へ頻繁にメールが送られてきました。もちろん柔道部に限らず、オリンピックと同様に部活動も、先生方をはじめ多くの人に支えられています。

つい今しがた、生徒のみんなもその感謝を話していましたが、広い社会のことだけではなく、そうしてあなた自身を守る身近な存在を、意識しているのかないのか。まなざしの向け方によって、社会に対する見方や、人生の目標が変わってくるのではないでしょうか。身近な存在を守ることが社会貢献の始まりであり、たった一人を守ることも、大きな社会貢献であるということ。オリンピックの報道に触れる中で、私にとっても自分を見つめ直す大切な機会でした。


そして、最初に話したコロナからの感染から身を守ることも、社会貢献の第一歩です。自分が感染しないこととともに、身近な人を守るという意味でも、お互いに気をつけていきましょう。

本校では、県外へ出かける高2の探究旅行を延期しましたが、体育祭、文化祭は、現在の島根県内や学校内の感染状況を見て、実施を予定しています。しかし状況の変化によっては、さまざまな対応が求められるでしょう。部活動など他校との交流の停止、その他課外活動の削減や分散登校、あるいは学校閉鎖をしてオンライン授業への切り替えも、必要になるかもしれません。しかしオンライン授業は、対応できる人もいますが、すべてをカバーはできないでしょう。あなた方が学校で仲間と触れ合いながら学び、諸活動に取り組む時間の価値を大切に思い、何とか維持しようと、先生方は工夫と努力を重ねています。ですから現状を安全に保つように協力していきましょう、ということを改めて強調し、私の話を締めくくりたいと思います。3年生は卒業に向けて日々、充実した時間を過ごし、有終の美を飾れるように頑張ってください。