KAISEIブログ
・2学期終業式式辞
明日から冬休みですが、2021年はあなたにとって、どのような1年だったでしょうか? 引き続きコロナで不自由が続きましたが、あなた方の協力で本校はクラスターとも無縁の、安全で安心な学校生活を過ごすことができました。また、部活動の大会やコンクールも例年並みに開催され、目覚ましい成果も残しています。一つ一つをここで触れる時間はありませんが、私自身は開星へ来て初めて野球、サッカー、柔道、陸上、バスケット、バレー、吹奏楽など高校と中学各部の戦いを見せてもらいました。インターハイで、高2の角陽太くんが全国ベスト32に入ったテニスを見られなかったのは残念でしたが、すべて思い出深く、中でもとくに印象に残った競技を一つだけ挙げると新体操です。私は生まれてこの方、一度も見たことがなかったこと。そして石原碧衣さん、杠瑞穂さんの3年生をはじめとした素晴らしい競技には、息をのみました。岡先生によると、部員たちは練習で、体のあちこちにあざができているのではないか、と言います。落下してくるバトンの勢いは強烈なのですね。あの美しい演技の裏にある厳しさを、しみじみと感じました。チアリーディングやコーラス、美術部とともに、開星らしい、独自性のある部活動の一つとして、これからも伝統をつないでいってください。弓道、卓球、ボードゲーム、軽音楽、女子サッカーなど新しい活動が加わったことも、今年のニュースでしたし、さらなる発展を期待します。
また中学校も、運動だけでなく文化活動で大きな成果がありました。モラロジー敬老作文コンクールでは高3生の桑谷彩夏さん、高2の木村心春さんとともに、中2の石橋愛梨さん、中1の都地杏菜さんの作品が高く評価されました。さらに外部のコンクールでは、中3の大月玲さんが次々と賞を獲得するなどの活躍をしています。そして中学も高校も、1年生の活躍が目立ったのも今年の特徴でした。音楽祭では、なんと1年生が優勝しましたが、先生方も前回の1年生優勝はほとんど記憶にないくらい珍しい出来事のようです。
高校スポーツでは開星の伝統の一つ、柔道で1年生の田窪剛共くんが、インターハイで5位入賞。また陸上部の藤原琉成くんと石倉珠妃さんが、男女100mで島根県チャンピオンになったのは、驚きでした。1年生のアベック優勝は、島根県史上初どころか、全国的にもほとんど例のない快挙です。さらに、藤原くんは中国大会でも2位になりました。陸上部は他の競技でも優秀な結果を残し、黄金時代といえる様子です。各部とも、ぜひこの勢いに続いてください。
そして部活動ではないのですが、1年生の与倉凛太郎くんと枝木志穂さんが、英検の準1級に合格したのもビッグニュースでした。この準1級は、有名大学の英文科の大学生でもなかなか合格しない、とてつもなく難しい試験です。高1での合格は全国的にも珍しく、島根県の高1生が、2人も同じ高校から合格するというのは、こちらもおそらく史上初ではないでしょうか。中学、高校ともに、こうした仲間の大きな成果を皆で讃えてほしいと思います。
さて、黄金時代を迎えている陸上部の石倉先生から、興味深い話を聞きました。それは部員たちにいつも「努力は夢中に勝てない」と話しているということです。「努力は夢中に勝てない」とてもいい言葉ですが、どうですか? 私がちょっと驚いたのは、終業式で私は「夢中と必死」について、話をしようと思っていたのです。そのことを石倉先生に言うと、それは面白いと興味を示してくれました。夢中と必死。これまで何かに夢中になった、そんな経験がある人はいますか? ちょっと手を上げてみてください。では必死になった経験がある人はいますか? 夢中の方がちょっと多いですね。夢中と必死、どう違うのでしょうか。
実は9月〜10月に私は入院していて、人が必死になる姿を目の当たりにしました。この間に柔道部の森崎くんと、柔道部キャプテンの南波くん。野球部キャプテンの佃くんが、次々と入院してきたのです。私も一緒にリハビリトレーニングをしていたのですが、3人を見ていると、他の患者とは違う必死さが伝わってくる。何が何でも復帰するぞと。その部屋にいたのは高齢者がほとんどでしたから、私たちのようなおじいさん、おばあさんとは全く気迫が違います。先ほど必死と夢中は違うと言いましたが、彼らが夢中にリハビリをしていたか、というと少しニュアンスが違いますね。必死とは、その文字は必ず死ぬということ。確かにそうですね。彼らは治らなければ、アスリートとしての死が待っている。そんな切迫感がありました。その姿を見て、必死で乗り越える体験をした彼らは、無事に復帰したらさらに強くなるだろうし、スポーツ以外でも発揮したら別の意味で凄いだろうなと思いました。
一方で、夢中に何かに取り組むこと。たとえば夢中になって生き物を調べるとか、夢中になって英単語を覚えるとか・・・。私は高校時代、小説を読むことに夢中になり、親から「これ以上本を読むな」と、取り上げられそうになった経験があります。今でしたらyoutube動画やゲームに夢中になるというのもあるかもしれない。そうした趣味とか遊びごとだけでなく、あなた方のフィールドである勉強面で、必死になったり夢中になってみる。そんな経験を、この冬休みにしてみると、全く違った3学期のスタートが切れるのではないか。そのように思うのです。
苦手な数学の問題集を必死に解いていく、あるいは志望する大学の入試問題を必死になって取り組む、これらは必死という言葉が似合いますね。逆に、好きな社会の参考書を、夢中になって読んでみるとか、夢中になって漢字を覚えるとか、夢中体験に似合うテーマもあるかもしれない。いろいろ探してみると、何か自分ができそうなことが見つかるのではないでしょうか。こうした話をしたのも、頭の片隅に、勉強のことで必死になったか、あるいは夢中になったかを留めておく。そして、冬休みにどこかで立ち止まって、自分の心に問いかけてほしいのです。
スポーツや勉強で、大きな実績を残す人は、必死に努力をしたり、夢中に打ち込んだり、そんな経験をしているのではないでしょうか。でも、昔からずっとそうだったわけではない。どこかで、何かのきっかけで、必死の体験や夢中になる体験をして変わったのだと思います。そんなきっかけをつかんでほしい。私自身、雑誌の編集なんて経験がなかったのに、編集長をやれといきなり言われて、3人の編集者と一緒に必死になって<こどもちゃれんじ>を創刊しました。ここで必死になれたのは、やっぱり高校時代に必死になった経験があったからです。必死になって、結果が思い通りになるのか、そうではないかというのは、相手もあるし、運もあるのでわかりません。しかし体験だけはあなたに残るし、何よりあなたが前に進んでいくための自信になります。ぜひとも、一人ひとりが自分の必死と夢中を見つけるとともに、皆が前向きに、お互いで伸ばし合う場づくりをしていってほしい。日本人は、新年に誓いを立てることをしますが、必死と夢中、このキーワードを頭に入れておいてみてください。
最後に学校生活では、生徒会が前会長の星野くんと周藤くんから新体制に移りました。2人をはじめ、旧役員の人たちには、学校を盛り立ててくれてありがとうございました。新会長はじめ新役員も積極的に活動してくれています。高校では永澤会長以下、役員が学校説明会で「入試がドラマになるなんて」という劇を披露してくれました。中学校では小村会長と滝川さん、坂本くんが「いかに開星中学校がいい学校か」という紹介をして、小学生に訴えています。とても新鮮な生徒募集活動ですが、昨日、志願者数の中間集計が出ました。記録がすぐに出る平成29年度以降、ここ数年では最高の受験者数になっています。生徒会の努力のおかげもあり、感謝します。テレビドラマや、かしゅ―くんと田中先生の体を張った演技もあり、開星はますます注目を集めています。ですから本校の生徒としての誇りをもって、さすがに開星生だと言われる行動をしてください。
では、あなた方にとって、素晴らしいい冬休みになりますように