KAISEIブログ
昨日は3学期の始業式、久しぶりに校内に生徒たちの元気な声が響き渡りました。
●3学期終業式式辞
冬休みが開けて、今日から3学期のスタートです。お正月休み、どのように過ごしましたか? 今日から始まる新学期の準備がしっかりとできたことを期待しています。さて2学期の始業式の時、陸上部の石倉先生が部員たちに話しているという「努力は夢中に勝てない」という言葉を紹介し、あなた方の本来のフィールドである勉強の面で夢中になる。あるいは、必死になって取り組むという経験をしてみては、と投げかけました。どうでしたか?
来週には、大学入学共通テストが行われます。3年生の中には、目の色を変えて勉強した人もいることでしょう。昨日は模擬試験があり、教室を覗くと、その背中から真剣味が伝わってきました。心から成功を願いますし、既に進路を決めている人も、仲間を応援してあげてください。また入試問題はすぐに公表されますから、下級生もぜひチャレンジして、これからの勉強に生かしてほしいと思います。
さて「夢中になって勉強」とか「必死になって勉強」と言いましたが、なぜ私がそのことを勧めるのか? あなたの未来と、どうつながっているのか? そのことについて、少し話しをします。1月2日のブログで、私は1冊の本を紹介しました。それは『2030 すべてが加速する世界に備えよ』という本です。ここには科学技術の飛躍的進歩によって、2030年には世界が劇的に変わっていくこと。そそには衣食住・医療・交通など、世界中のあらゆる分野の研究者や、企業などで活躍している人の分析に基づく、未来予測がまとめられています。2030年と言えばわずか8年後。もし大学に進学するとしたら、中1生であれば大学3年生。高3生は社会人4年目という、かなり間近な未来です。あなた方もいろいろな形でこうした未来予測に触れていることでしょう。その中で、これからの私たちを取り巻く変化について、高い評価を受けている世界のベストセラーです。さっそく図書館の實重先生が取り寄せてくれましたので、ぜひ読んでみてください。あなたの手元に1冊、置いておいてもいいような、将来への教科書にもなる本です。
こうした社会の変化ということでは、あなたも「AIの進歩によって、10年後になくなる仕事が半分くらいある」といった話題を耳にしたことがあるでしょう。しかしこの言い方には誤解を生む部分があると私は思います。というのも、なくなる仕事となくならない仕事という2種類があるのではありません。すべての仕事が大きく変化する。その中で、消えてなくなるものもあれば、名前は残る仕事がある。しかし名前が残る仕事も、内容は大きく変わる。そのように考えた方が良いでしょう。病院の仕事や学校の仕事はなくなることはない。しかし医者や看護師、先生の仕事は大きく変わる、ということです。実際に、学習指導要領や度重なる入試制度の変更、あるいはICTへの対応などによって、先生方の仕事はどんどん変わっています。
実際の生活体験の中でも、新しい知識や技術がないお医者さんや、美容師さんでは次に行こうという気にはならないでしょう。物を買いに行って、商品知識のない定員さんでは満足しません。今のように変化が激しい時代には、従事している仕事の知識がないと、利用者や顧客を満足させられないのです。
ですから今、ビジネスの世界ではリ・スキリングという言葉が生まれています。「リ」はリサイクルのリと同じ「再び」という意味で、スキリングはスキルを磨いていくということ。つまり仕事に就いた後、再び新しい知識と技術を学び続けることという意味です。そうした学び直しが、一人ひとりの個人が社会で活躍していく条件になりました。ですから社会人の間でも、ビジネススクールやオンライン学習が流行っています。実は私も今年、「キャリアコンサルタント」という国家資格の免許更新を迎えるので、東京のビジネススクールのオンライン講座で講習を受講する予定です。
先ほど紹介した2030年の予測の本を読んでも、仕事の中身がすっかり変わったり、あるいは消えてなくなったりします。そうした時、それこそ一人ひとりの個人は、必死で新しい知識を学ばなければならない。そうした場面を見すえて、今から必死になって勉強するという体験を、あなた方に積んでほしい。その体験が、あなたにとっての何よりの未来を拓く力になると思っています。学校での学びを、その第一歩として大切にしてください。
その学びを進めていく上で、学ぶ環境づくりということも、意識をしてけると良いでしょう。学ぶ場の環境というのは、先生が作るものではありません。あなた方生徒と一緒に、協力しながら作っていくものです。ですから皆で話し合ったり、活発に議論して盛り上がる場面は、どんどん発言してください。一方でそうではない場面、つまり先生の話を聞いたり、他人が発表をする場面では静かに聞く。そうしたメリハリを、しっかりと作ってほしいと思います。新しい年の始まりにあたって、こうした学びの場づくりにも取り組んでください。それは将来、あなたがリ・スキリングを積み重ねながら、社会で活躍していく力になってくれるはずですから。
では2022年が、あなた方一人ひとりにとって、素晴らしい年になりますように。また各部活動が目標を達成し、ますます開星中学・高等学校が輝くことを願っています。