KAISEIブログ

 : 令和3年度 終業式
 投稿日時: 2022/03/19

昨日、令和3年度の終業式を行いました。式典の中では皆勤賞の表彰も行いましたが、コロナ禍が続く中でも休まずに頑張って通学した生徒諸君には、心から敬意を表します。今回の終業式は、先日の卒業生座談会の映像も紹介したかったので、スライドを使って話をいたしました。

●終業式 式辞

令和3年度の終業式を迎えましたが、今年度はどのような1年でしたでしょうか。引き続きコロナ禍で、あなた方にとっては不自由な学校生活でしたが、本校はクラスターを出すこともありませんでした。改めて皆さんの協力に、感謝いたします。まだまだ油断ができない状況ではありますが、春休みも健康には気を配って、元気で新学期を迎えられるようにしてください。

さて先日、高校2年生と1年生も何人か参加してくれましたが、卒業生座談会を実施いたしました。卒業生というのは、岡山県にある就実大学という大学で心理学を教えている林秀樹さんと、もう1人は島根県立大学の4年生で、この春から安来市の幼稚園・保育園で仕事をする岩田桃可さんです。この座談会の様子は、田中先生がYouTubeでアップしてくれると思いますのでぜひ1年生、そして中学生も見てください。いろいろと刺激になることでしょう。

私自身も、開星の生徒と先生方の底力を再認識したのですが、皆さんのアンケートを読むと、本当に役に立ったという声に溢れていました。120人近い人たちが、120通りの違った反応があったところに、先輩たちの話が多岐にわたっていた、その表れではないでしょうか。その中で大きな傾向はあって、たとえば自分も保育士になりたい、心理の勉強したいというように、今の夢に重なったという人。あるいは2人が勉強に取り組んだ様子に、感銘を受けたという人。9時勉といって、部活が終わった後、夜の9時まで学校に残って仲間と勉強をしていたというエピソードもありました。その一方で、自分はこれといった目標がないので焦ってしまう。そういった声もありました。

といっても、高校2年生の時点で将来の目標がないのは、普通かもしれません。岩田さんも、高校時代に看護師から保育士と、進路が変わっていったと言います。林さんは、高校時代にメンタルが弱かったから、心理学を勉強したいと思ったけれど、大学の先生になるというのは、大学に進んでから決めたということでした。ずいぶん迷ったのではないかと思って、会が終わってから「一体どれぐらいの割合で、大学院に進んで博士過程に進むのですか?」と聞きました。大学4年間の後、修士課程で2年間、博士過程で3年間という事でしたが、林さんの大学では博士課程に進む人の割合は5年に1人くらいだそうです。座談会では聞いていなかったので、改めてびっくりしました。その博士過程で論文を書くために、プレッシャーに襲われて、毎朝大学に来てトイレで吐いて、リポビタンDを飲んでから研究室に行ったという体験談は壮絶でした。

林さんも大学に入ってから自分の道を見つけ、将来の仕事につなげたわけですが、岩田さんのように高校時代にすでにやりたい仕事がある人の方が、世の中では少数派ではないでしょうか。まずは方向だけでも決めて、頑張ってみる。前に進んでいく中で、道が開かれていくというのが圧倒的だろうと思います。ですから目標がないというのを、力が入らない理由にはしないほうがいい。必死でやれば、展望は開かれていくものです。

この4月には、中学校31人、高校170人、計201人の新入生が入ってきます。今週の月曜日には、入学してくる中学生に話をしました。開星には、素晴らしい仲間や先輩あるいは卒業生が待っているので、安心して来てほしいとの話をしています。その例として、今年の中高一貫性の3人の話を紹介しました。担任の中島先生によると今年の3年生は、大学の模擬試験で良くない判定が出ながら、続々と目標を突破していった、ミラクルでしたと言っていました。東海大学医学部に合格した船越くんは勉強と柔道どちらもうまくいかず、苦しんだことがあったそうです。星野くんは、高2の時に、お父様が亡くなる不幸に向き合いながら、国立大学を突破。一緒に生徒会をやっていた小田さんは、全国の公立大学のトップクラスの横浜市立大学に入りましたが、1年生から2年生になる時、夢も目標もなく前向きになれない時もあったたそうです。共通していたのは、クラスの仲間が支え、先生方が助けてくれたということ。

みんないろいろな不安や挫折を頑張って乗り越えていったと言い、周りの支えを口にします。しかし、口にしなかったことの中で、自分に対してどんな声をかけていたのかということ。あなたが困難に向き合った時に、あなた自身にどんな声をかけますか。きっと2通りしかないでしょう。「どうせだめだよ」と弱気になるか「君なら大丈夫。君ならできるよ」と励ますか。きっと私は、君なら大丈夫と励ましながら頑張ってたんだと思います。このスタンスの違いは、結果を大きく左右するので、自分に対する声のかけ方を、工夫してみてください。

最後に、今この瞬間にもあなたは何らかの変化をしています。また何か変化が起きています。この変化を、どのようにすくい上げて、次の行動につなげていくのか。あるいはこれからの大きな変化を作り出すために、新しい行動をどう起こしていくのか。そうしたことを工夫してみると良いと思います。方丈記に「ゆく川の流れは絶えずして、しかも元の水にはあらず」と言いますが、自然も人も必ず変化をしている、そのことを言っています。ちなみに今、放送大学で徒然草と方丈記の講義をやっていて、私も昨日見ました。コロナやウクライナ問題で揺れ動く今、方丈記は今の時代に重ね合わせて読める作品であり、人間や社会、歴史を理解する上で。あるいは今起きている出来事をどう受け止めるか。そうした面で、深く感じ入らされます。古文のテストに出るからというのではなく、こうした読書や勉強は、何らかの形で人生の課題を乗り越えるためにあるのでしょう。例えば読書のようにいろいろと取り組んでいる中で、新しい展望が開けてくると思います。その意味で、読書は新しい行動の材料がたくさん詰まっていますので、春休みは手当たり次第に読んでみる、といった生活もいいかもしれません。図書館の實重先生と矢頭先生が、この年度末にたくさん仕入れてくれているので、ぜひ立ち寄ってみてください。

私が前の学校で進路相談で向き合った生徒は、2か月の間に12冊の本を読んで超難関の上智大学に進学していきました。それまでこうした本を読んだことがない女子です。これらの本と、対話を通して考えを掘り下げていきました。もちろん本校にも、こうした経験を積んできたOB・OGの体験が進路冊子のファインに書かれています。こうしたところからもぜひ、たくさんその刺激を貰いながら、この春休みを素晴らしいきっかけの時間にしてください。では新学期、元気なあなたたちとの再会を楽しみにしています。