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 : 高校卒業式 答辞 
 投稿日時: 2021/03/02

先日行いました高校卒業式の答辞を、参加できなかった卒業生・保護者・在校生に向けて掲載させて頂きます。

答辞 
 令和3年2月28日 私たちは3年間の高校生活と決別をするためにこの開星坂を登ってきました。少し肌寒い風が残るこの坂道で3年間の思い出が風となり、私たちの背中を押してくれているように思います。
 本日は、私たち180名の卒業生のために、このような盛大な卒業証書授与式を挙行していただき、誠にありがとうございます。先ほど、校長先生、来賓の方からのご祝辞、在校生の皆様からは励ましの言葉と、心温まるメッセージをいただき、卒業生一同、感激で胸をいっぱいにしております。
 私は、開星高校へ入学して、「自分を変えたい」「新しいことに挑戦してみたい」という思いで「チアダンス部」に入部しました。
 2年生になりキャプテンとして活動してきた1年間は、私を大きく成長させてくれた1年となりました。チアはひとりでは踊れません。しかも、たとえ8人で踊ったとしても自分だけ好きなように踊ることはできません。ですから、チアをする上でキャプテンとして1番大切なのは何かと聞かれたら「信頼関係」を築く事だと私は答えます。
 信頼関係を築く事。それは私たちチアダンス部だけじゃなく他の部活動や人間関係を築く上でも、とても難しく大きな、乗り越えなくてはならない壁だと思います。みんなそれぞれが思っていることや感じ方が違います。するとちょっとしたことでぶつかってしまい人を嫌いになったり信じる事を恐れたり、なかなかいい方向には進んでいきません。
 私たちチアダンス部3年生にとって部活をしていく上で信頼関係を築く事はどんな事よりも難しく大きな壁でした。意見のすれ違いや考え方の違いで沢山ぶつかり合いその度話し合いを重ねてもいい方向には行かず、私はキャプテンとして部員をまとめることも信頼することもできなくなっていました。
 そんな苦しい状況にいた私には、いつも隣で支え一緒に悩んでくれた友達がいてくれました。きっと私と同じようにここにいる卒業生にとっても友達という存在は大きかったと思います。時にはぶつかりあってその人を嫌いになった時もあるかもしれません。ですがこの三年間という日々を乗り越え楽しく過ごせたのは友達というかけがえのない存在がいてくれたからだと思います。
 私にとってもそんな友達がいつもそばにいてくれたからこそ目の前の壁と向き合い前に進むことができました。そして少しずつ少しずつ8人との信頼関係を深め、数えきれないほどの辛く苦しい瞬間を共に乗り越えてきました。そして私たちは沢山の人に元気と笑顔を届け、最高のチームを作ることができました。
本当に高校に入って自分を変えてくれたのは8人と過ごした2年半のチア生活でした。「8人で悩んだ。」「8人で喧嘩した。」「8人で踊った。」「8人で泣いた。」この8人とみてきた景色は私のかけがえのない思い出です。
 そんな私たちの前に自分たちだけではどうすることもできないコロナという敵が待ち受けていました。もちろん私たちだけではありません。ここにいる180名の想いはみんな同じだと思います。誰も責める事ができず現実を受け止めるしかなかったあの日。コロナの影響で多くの部活動生が目標にしていた最後の活躍の場所を失ったのです。その悔しさはどこにもぶつけられず命を守るために自分たちの叶えたかった夢や目標を諦めるしかありませんでした。
 それでも私達は前を向いていかなくてはなりません。各部活動が「怒り」や悔しさを抱えながらもこれまでとは違う形で最後までやり切りました。その姿はとても勇ましくコロナになんか負けない。そんな強さを感じさせてくれました。
 誰もやったことのない新しいことに挑戦する。それはとても難しいことです。しかも今回のように選べない困難もあります。ですが様々な困難を乗り越えた先には自分にしか見えない景色があるはずです。みんなとぶつかり合いながらも笑いあったり泣いたり喜んだりした日々は私たちの卒業生のかけがえのない時間です。この学校でみんなと出会い、三年間という日々を共に過ごしてこれたことは私たちの人生の中できっと忘れることのない思い出として心に刻まれています。
 そして、コロナで失ったもの以上に私達はコロナを乗り越えて成長したのだ。という思いを胸に今日この開星高校を去っていきます。
 さて、ここで卒業生からみなさんへのメッセージを送ります
「NEW LIFE 時は戻せない〜今を大切に困難に立ち向かおう〜」
「新しい生活様式」が続いています。何が正解なのか。どこがゴールなのか誰にもわか
りません。しかし、今までのやり方では通用しないということだけははっきりしています。皆さんも前を向いていかねばなりません。これからの皆さんのご活躍をお祈りいたします。
 最後に、開星中学高等学校のますますのご発展と、校長先生をはじめとする諸先生方、在校生の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。
 そして、18年間、私たちを陰から支え、ここまで育ててくれた父母に深く感謝をしつつ、答辞とさせていただきます。

令和3年 2月28日
卒業生代表  細木唯花