科学技術者倫理を取り入れた科学探究(理数融合科目及び分野融合科目)の実践

研究開発単位の目的,期待される成果

第1期に於いて道徳観を兼ね備えた科学系人材育成のための主要科目として中高一貫6カ年間取り組む科学探究・課題研究の授業を開発した。「基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育成すること」,「知識を活用する際に不可欠な科学的リテラシーを育成すること」ができた。また,科学的な活動の中に,数学的な取組を取り入れることで,「事象を数学的に考察し表現する能力」や「創造性の基礎を培うとともに,数学のよさを認識し,それらを積極的に活用して数学的論拠に基づいて判断する態度」を育てる授業となっている。この授業の中で道徳観の育成のために,科学技術がいかに人間生活に関わっているか,その責任が重大であるかを学ぶためのプログラムを組み込んでいる。このプログラムの有用性は生徒の変容から明らかである。
さらに道徳観を兼ね備えた科学系人材を輩出するために,金沢工業大学科学技術応用倫理研究所との共同開発により,中高生のための科学技術者倫理を開発実践する。また,「論文作成基礎のためのパラグラフライティング」の授業開発を行う。

内容



第1期で開発した中高一貫6カ年のカリキュラムの中で,科学技術者倫理に関するプログラムを実施する。

中1・中2では全員を対象とした「基礎科学探究Ⅰ・Ⅱ」を週2時間実施する。内容は,実験器具の操作方法や薬品の扱い方,観察・実験の手技・手法,記録やレポート作成など探究活動の方法を習得する。また,レポート作成を通じて,数学の有用性を学ぶ機会を設ける。

中3・高1では全員を対象とした「応用科学探究Ⅰ・Ⅱ」を週2時間実施する。内容は「基礎科学探究Ⅰ・Ⅱ」の発展として,高等学校で扱われる実験,実験結果の統計処理,プレゼンテーション資料の作成を学ぶ。課題研究に応用できるような発展的な実験や,野外でのフィールドワークなどを行う。高1の最後にはグループごとに実験結果のまとめの発表を行う。そして,生徒の興味関心を元にグループ分けを行い,次年度から取組む課題研究の内容を決定させる。

高2・高3では理系選択者を対象に「課題研究Ⅰ・Ⅱ」を行う。平日週1時間,土曜日及び放課後を活動時間とし,各グループで課題研究に取組む。大学等の外部指導者の指導も受けながら,それぞれの研究をすすめる。月に一度,各グループは研究の進捗状況を発表し,議論を交わす場を設定する。また,外部での実践発表も高2より行う。

実施方法

科学技術者倫理に関するプログラム

(参考文献「科学技術者倫理」金沢工業大学科学技術応用倫理研究所 白桃書房)

学年 タイトル 内容
中1 ①もし,科学技術が機能しなくなったら…
②倫理って何?
具体的な事例をもとに考える。
倫理について学ぶ
中2 ①セブン・ステップ・ガイド
②こんなときどうするⅠ
行動規範について
具体的な事例をもとに行動計画立案
中3 ①こんなときどうするⅡ
②研究開発の倫理Ⅰ
具体的な事例をもとに行動計画立案
研究開発の場で必要となる倫理
高1 ①研究開発の倫理Ⅱ
②研究者倫理Ⅰ
研究開発の場で必要となる倫理の具体的事例
課題研究の場で必要な倫理について学ぶ
高2 研究者倫理実践 課題研究に取り組みながら実践を行う
高3 研究者倫理実践 同上

パラグラフライティングに関するプログラム

(参考文献 倉島保美「論理が伝わる世界標準の『書く技術』パラグラフライティング入門」講談社ブルーバックス)

学年 タイトル 内容
中1 基礎パラグラフライティングⅠ パラグラフとは
中2 基礎パラグラフライティングⅡ 読み比べてみよう
中3 論文作成のためのパラグラフライティングⅠ パラグラフで書く
高1 論文作成のためのパラグラフライティングⅡ パラグラフで説明文
高2 論文作成のためのパラグラフライティングⅢ パラグラフで論文